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【農地転用】許可され易い土地、されにくい土地

農地農地転用(農地を宅地など農地以外にすること)を計画するときに、最初に確認すべきなのが、目的の農地がどの農地区分に該当するかということです。該当する区分によっては許可されないものもありますので、無駄な手間を省くためにも、まずは農地区分を確認しましょう。

私は、はじめて農地転用をしたとき、農地区分を調べずに書類をかき集めて窓口に行ったら、「あそこの土地は転用できたっけ?」と言われて冷や汗をかいた思い出があります(;^ω^)

(たまたま第二種農地で助かりましたが)

目次

農地法上の農地区分

農地法3条の許可申請

農地法上、転用に制限がかかる農地の区分として、以下の5つが規定されています。
農地転用を計画するなら、まずは目的の農地が以下の区分に当てはまるかどうかを確認しましょう。

1.農用地区域内農地(法4条6項1号イ、法5条2項1号イ)
2.甲種農地(法4条6項1号ロ括弧書き、法5条2項1号ロ括弧書き)
3.第一種農地(法4条6項1号ロ※、法5条2項1号ロ※)
4.第二種農地(法4条6項1号ロ(2)、法5条2項1号ロ(2))
5.第三種農地(法4条6項1号ロ(1)、法5条2項1号ロ(1))
 ※ 第一種農地は、法4条6項1号ロ及び法5条2項1号ロ該当部分から、甲種・第二・第三種を除いた部分。

農用地区域内農地【原則不許可】

農用地区域内農地とは、農用地区域(農業振興地域の整備に関する法律第8条第2項第1号に規定する農用地区域)内にある農地をいいます。
俗に言う青地農地ですね(地区域外農地のことは白地農地といいます)。
そもそも農業振興地域とは、市町村が将来的に農業上の利用を確保すべき土地として指定した区域です。なので、地区域内農地を転用にするには当然に厳しい制限があり、転用には相当の理由が必要になるでしょう。

なお、農用地区域内農地を転用するには、転用の許可申請以外に、青地指定を白地に変える手続き、農振除外申請という手続きを行います。
この農振除外申請については改めてご紹介しますが、重要なことは、「白地になったから許可」というわけにはいかないということです。
また、農振除外手続きは、手続きが完了するまでが長期に及ぶことが多いので、事前にしっかり打ち合わせをすることが大事です。

甲種農地【原則不許可】

甲種農地とは、市街化調整区域内にある以下のような農地をいいます(括弧内の参照条文は、農地法4条関連のものを記載しています)。

・農業公共投資後8年以内の農地(施行令6条2号、施行規則42条)
・集団農地で高性能農業機械での営農可能農地(施行令6条1号、施行規則41条)

甲種農地の転用について、不許可の例外が規定されていますが、どれもクリアが難しいものとなっています。また、甲種農地は市街化調整区域内にあるため、都市計画法上の開発許可をとらなければならない場合もあります。

第一種農地【原則不許可】

第一種農地は、他の農地区分に該当しない農地であって,次のような良好な営農条件を備えている農地と判断されるものをいいます。

・概ね10ヘクタール以上の規模の一団の農地等の区域内にある農地(施行令第5条第1号)
・農業公共投資対象農地(土地改良事業等の施行に係る区域内にある農地等)(施行令第5条第2号)

一団の農地とは,その農地の団地が山林、宅地、河川、堤防、高速自動車道等に包囲されている状態をいます。道路やあぜ道、水路等があっても、農機の横断又は迂回が容易にできるのであれば、一団の農地とされます。
農用地区域内農地や甲種よりも農業上の利用に支障が少ないとされていますが、基本は不許可です。

第二種農地【第三種で代替できない場合等に許可】

第二種農地とは、農用地区域内の農地に該当しない農地等であって、以下のような第3種農地に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地をいいます。
・道路、下水道、鉄道の駅等の整備の状況から第3種農地になることが見込まれる区域(施行令第8条第1号)

例えば、相当数の街区を形成している区域や、鉄道の駅・市役所等の周囲おおむね 500メートル以内の区域です。
第二種農地の転用は、周辺の他の土地では事業の目的を達成することができない場合に認められます。第三種農地ではこのような制限がない点で、第二種農地より許可されやすいといえます。

第三種農地【原則許可】

第三種農地とは、農用地区域内の農地に該当しない農地等であって、以下のような市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地をいいます。

・道路、下水道、鉄道の駅等の整備の状況が一定程度に達している区域(施行令第7条第1号)
・申請に係る農地からおおむね300メートル以内に鉄道の駅、高速道路の出入り口、市役所等がある(施行規則第43条第2号)等

第三種農地は、原則許可されます。市街化が進んでいる地域ですので、農地転用はその流れに合致するものとの評価ですね。ただし、許可されるのは申請書類が整っている場合です。第三種農地だから多少の目こぼしがあるとか、無理筋が通るというわけではないのでご注意ください。

農用地区域内農地や甲種農地でも認められる「一時的な利用」の期間とは?

ハテナ

農地法施行令第4条第1項第1号では、不許可の例外として、「申請に係る農地を仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するために行うものであつて、当該利用の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められるものであること」と規定しています。

「一時的な利用」の範囲は、各自治体により異なると思われますが、おおむね以下の期間が目安になります。

・農用地区域内農地:3年以内
・甲種及び第一種:5年以内

このような一時転用の場合、上記期間と併せて注意したいことは、農地への回復の可能性です。転用の計画・申請段階で、期間経過後に農地に戻せるような内容になっていないと、不許可になります。

【独り言】農地区分の規定が分かりづらい

農地区分は農地法4条6項1号(5条の転用なら5条2項1号)に規定されていますが、なんでこんなに分かりづらいことになっているのかと泣けてきます。
何が分かりづらいかというと、許可の難易と法規定の順番が違うところです。
手続きの難しい順に書くと、

1.農用地区域内農地(法4条6項1号イ、法5条2項1号イ)
2.甲種農地(法4条6項1号ロ括弧書き、法5条2項1号ロ括弧書き)
3.第一種農地(法4条6項1号ロ、法5条2項1号ロ)
4.第二種農地(法4条6項1号ロ(2)、法5条2項1号ロ(2))
5.第三種農地(法4条6項1号ロ(1)、法5条2項1号ロ(1))

甲種は、市街化調整区域内の農地ということで特別扱いになるのは何となく分かるのですが、なぜ第三種より第二種があとに規定されているのか?
私は農地法の法改正の流れを知らないのですが、長い年月の中でこのようになったのでしょうか?
根拠条文を知らなくても手続きはできますが、確認したくなるのは職業病ですね。

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